私の母は認知症を患っており、日々向き合う中で感じたことや学んだことを共有したいと思います。
認知症は早期発見が非常に重要です。初期症状を正しく理解し、適切な対応を取ることで、進行を遅らせたり、生活の質を維持することができます。本記事では、認知症初期症状について、対応策や予防法についても詳しくお伝えします。
認知症の初期症状とは
認知症は脳の病気や障害が原因で、記憶や判断力などの認知機能が低下する状態を指します。初期症状は、加齢によるもの忘れと似ているため、見過ごされることが少なくありません。例えば、加齢によるもの忘れでは、置き忘れた物を後から思い出すことが多いですが、認知症の場合、置き忘れた物の存在自体を忘れてしまうことが一般的です。また、加齢によるもの忘れは日常生活に大きな支障をきたさないことが多い一方で、認知症では約束を頻繁に忘れる、同じ質問を繰り返すなど、生活全般に影響を及ぼすことがあります。しかし、認知症の場合、進行が速く、日常生活に重大な影響を及ぼす点で区別されます。
主な初期症状
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もの忘れ(記憶障害):最近の出来事をすぐに忘れる、同じ話を繰り返すなどの症状が見られます。
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時間や場所が分からなくなる:日付や曜日を混同したり、慣れた道で迷うことがあります。
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理解力や判断力の低下:状況を理解できなくなる、計算ミスや運転ミスが増えることがあります。
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日常生活の困難:家事や趣味の活動が難しくなり、段取りが悪くなる場合があります。
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気分や性格の変化:突然怒りっぽくなる、意欲がなくなるなどの変化が見られます。
これらの症状が現れる背景には、脳の神経細胞がダメージを受けることで、情報の処理や記憶の保持が難しくなることが挙げられます。
母の場合、「いつも使っていた鍵をどこに置いたのか忘れる」ということが頻繁に起きるようになりました。これらの変化が複数見られる場合、専門医への相談を検討するべきです。
私が母の変化に気づいたポイント
母の初期症状に気づいたのは、日常会話の中で繰り返される質問や、慣れた道で迷う姿を見た時でした。例えば、私が何度も同じ質問に答えているうちに、「何かが違う」と感じました。また、家族間で母の変化について話し合うことが重要でした。「いつもと違う」と感じたら、家族の誰もが気づいた点を共有し合うことで、全体像をつかむことができます。
認知症の種類ごとの初期症状
認知症にはいくつかの種類があり、それぞれに異なる初期症状があります。以下は主な認知症の種類とその特徴です。
例えば、アルツハイマー型認知症では、親しい人の名前を突然忘れてしまい、頻繁にその人に関する質問を繰り返すことがあります。血管性認知症の場合、階段を上る際に足が動かなくなり、急に転倒することが増えるといった身体的な症状が見られます。また、レビー小体型認知症では、部屋に誰もいないのに「誰かがいる」と話すなどの幻覚を経験するケースが典型的です。前頭側頭型認知症では、家族の反応を気にせずに失礼な発言を繰り返すといった行動の変化が初期に現れることがあります。
アルツハイマー型認知症
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主な症状:記憶障害が目立ち、進行はゆっくりです。
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特徴:最も多いタイプで、初期は軽度の記憶障害から始まります。忘れ物が増え、過去の出来事や会話内容を思い出せなくなることが特徴です。
血管性認知症
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主な症状:歩行障害や手足の麻痺が見られることがあります。
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特徴:脳梗塞や脳出血が原因で発症します。特に急激な発症が多く、運動障害を伴う場合があります。
レビー小体型認知症
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主な症状:パーキンソン症状や幻覚が見られます。
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特徴:動きが遅くなる、転びやすいなどの身体的症状を伴います。また、幻覚や睡眠障害が早期から現れることがあります。
前頭側頭型認知症
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主な症状:性格や行動の変化が目立ちます。
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特徴:同じ行動を繰り返したり、不適切な行動が見られます。感情の制御が難しくなる場合も多いです。
認知症の初期症状を発見するためのセルフチェック
早期発見のためには、日常生活での変化に気づくことが大切です。以下のセルフチェックリストを活用してみましょう。
□ 最近の出来事をすぐに忘れる
同じ話を何度も繰り返すことが増えた。
□ 物の置き場所を忘れる
鍵や財布を頻繁に見失い、見つけられないことが多い。
□ 日付や曜日が分からなくなる
今日が何日か、曜日が分からなくなることがある。
□ 慣れた道で迷う
いつも通る道で迷ったり、目的地への行き方が分からなくなる。
□ 予定や約束を忘れる
病院の予約や友人との約束を忘れることが増えた。
□ 判断力が低下する
お金の使い方が急におかしくなる、詐欺に引っかかりやすくなる。
□ 家事や仕事が難しく感じる
レシピを見ても料理ができない、慣れた業務ができなくなる。
□ 言葉が出てこなくなる
話の途中で適切な言葉を思い出せず、会話が途切れることがある。
□ 気分や性格の変化
突然怒りっぽくなる、または意欲がなくなる。
□ 趣味や活動への興味を失う
好きだった趣味や習慣を急にやめてしまう。
危険度の目安
0~2項目: 大きな心配は不要ですが、経過を観察しましょう。
3~5項目: 初期の認知症の可能性があります。医療機関への相談を検討してください。
6項目以上: 認知症が疑われる可能性があります。早急に専門医に相談しましょう。
注意事項
これらの項目にいくつか該当する場合でも、必ずしも認知症とは限りません。不安がある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。認知症の初期症状に気づいたらどうするべきか
初期症状に気づいた場合、以下の対応が推奨されます。
医療機関を受診する
認知症が疑われる場合は、かかりつけ医や認知症専門外来を受診しましょう。問診や検査を通じて、正確な診断を受けることができます。診断には、画像検査(MRIやCTスキャン)や心理テストが含まれることが一般的です。
地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターでは、介護サービスや医療機関の紹介、家族向けのサポート情報を提供しています。例えば、介護保険の申請手続きのサポートや、デイサービスやショートステイの利用方法についてのアドバイスを受けることが可能です。また、認知症カフェや家族向けの交流会など、家族が孤立しないための場を提供している場合もあります。初めての相談でも親身に対応してもらえるので、安心して利用してください。
家族との話し合い
家族間で状況を共有し、対応方法や今後の計画について話し合いましょう。必要に応じてケアマネジャーに相談するのも効果的です。具体的な対応策や役割分担を決めることで、家族全体の負担を軽減できます。
認知症の初期症状を予防する方法
認知症を完全に防ぐことは難しいですが、以下の方法で進行を遅らせることが期待できます。たとえば、研究によると、週に150分以上の有酸素運動を行う人は、認知症のリスクが30%以上低下することが報告されています。また、地中海式食事法を取り入れた食生活は、認知症の発症リスクを20%以上低減する可能性があることが示されています。社会的なつながりや定期的な認知機能トレーニングも、認知症の予防に効果的であるとされています。
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定期的な運動を行う:ウォーキングやヨガなど、軽い運動を習慣にしましょう。週に150分以上の有酸素運動が推奨されています。
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バランスの取れた食事:地中海式食事法が効果的とされています。魚、野菜、ナッツ、オリーブオイルを中心とした食事が脳に良い影響を与えます。
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社会的なつながりを保つ:地域の活動やボランティアに参加し、孤立を避けましょう。定期的に友人や家族と交流することが重要です。
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認知機能を鍛える:パズルや読書など、頭を使う活動を日常に取り入れることが重要です。また、オンラインでの認知トレーニングプログラムも活用できます。
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良質な睡眠を取る:睡眠不足は認知症のリスクを高める要因となります。規則正しい生活を心がけましょう。
結論
認知症は早期発見と適切な対応が鍵です。初期症状を見逃さず、必要に応じて医療機関や地域の支援サービスを活用しましょう。予防法を実践することで、健康的な生活を維持しやすくなります。日常生活の中で変化に気づいたら、早めの行動を心掛けることが大切です。
認知症は個人だけでなく家族や社会全体に影響を及ぼす病気です。正しい知識を持ち、支援を受けながら適切なケアを行うことで、患者とその家族がより良い生活を送れるように努めましょう。
これからも母との日々を大切にしながら、情報を発信していきたいと思います。この記事が、少しでも多くの方の助けになれば幸いです。
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